ゲーム・クリエイティブカレッジ (2019年度実施)
ハイレベルプログラミングゼミ
精鋭たちの“尖った”研究発表が
プログラマ魂に火を付ける
毎年、厳しい就職活動が行われるゲーム業界。「ハイレベルプログラミングゼミ」は、そのような中で競争力となるユニークで際立った研究開発を目的としたゼミ形式の授業です。参加する学生は研究テーマを設定し、その成果を報告します。それぞれが掘り下げていくテーマはプログラミング、グラフィック、CG、さらには人工知能やOSのことなど多岐に渡ります。授業には1年生から4年生まで、さまざまな学年とコースから参加しているため、研究報告は誰にでもわかるように説明する必要がある上、寄せられる質問にも丁寧に答えていかなくてはなりません。こうした発表の場を繰り返していくことで、就職活動はもちろん、働き始めた後にも必要なプレゼンテーション能力を高めることにもつながっています。授業には教室3つ分をつなげた大教室が満杯になるほどの学生が参加します。発表を聞く側にとってもハイレベルな研究の数々が内なるプログラマ魂に火を付ける、またとない機会になっています。
ここが注目ポイント
- 1 自らテーマを設定して、深く掘り下げていける!
- 2 大勢の前で発表することで、プレゼン能力アップ!
- 3 他の学生の研究に触れて、モチベーションがさらに高まる
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授業開始前の様子。ノートPCを広げる学生も多く、研究に関連する用語を調べたりしながらゼミに参加します。
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最初の研究発表がスタート。プログラムと機械を仲立ちする「コンパイラ」について報告されました。ゲーム関連の研究が多いなか、珍しい内容に一同聞き入っていました。
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発表後は質疑応答が行われます。初歩的な質問ももちろんOK。学年問わず次々に手が挙がります。発表者は丁寧に回答します。
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次の発表は人工知能について。自身で設定した人工知能プログラムの結果や、ゲーム業界との関わりなど幅広い内容をコンパクトにまとめて紹介しました。
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発表者から繰り出される失敗談や「あるある」話に、聞き手からも思わず笑顔がこぼれます。
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担当教員の福井先生。それぞれの発表を静かに見守ります。
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この日最後の発表。雲のCGについて、リアルな表現を生み出す手法を解析し、その過程を分解しながら発表が行われました。
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サポート教員を務める椎原先生。司会者としてゼミを盛り上げるとともに、自ら質問に立つ場面も。
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最後は福井先生から講評が行われました。良かったポイントや、聞き手の学生にも改めて見ておいて欲しいことが話されました。
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授業が終わっても、それぞれが自分の研究のことを話したり、質問し合ったりと教室内の熱気は収まりませんでした。
どうすれば伝わるかを学ぶ良い機会になっています
いろいろな分野のプログラムに興味があるものの、限られた時間でできるだけ研究を深めたいので、僕は機械学習とAI(人工知能)に絞って研究をしています。研究を深めるのはもちろんですが、このゼミでは発表する際1年生から4年生まで、幅広い層に向けて話すので、どうすれば伝わるかを学ぶ良い機会になっています。発表をフォローしてくださる先生方は、長くプログラムを書いてこられて知識も経験も豊富、心強い存在です。また、自ら話すだけではなく他の人の研究成果も聞けるため、一人では研究しきれないことを知ることができることも参加して良かったと感じます。来年からは社会人になるのですが、将来はCEDEC(注1)やGDC(注2)といった大舞台に立てるように、これからも研究発表を続けていきたいと思います。
山本さん
ゲーム開発エキスパートコース ゲームプログラム専攻
高等学校卒業程度認定(大学入学資格検定)
講師コメント
この授業では大きく3つの目的があります。一つ目は「ゲーム業界へ就職するために必要となる競争力のある技術の獲得」です。本校ではチームで課題を制作することも多くあるのですが、このゼミは自分のためだけに取り組んだ、就職活動でライバルに勝つための突き抜けた技術を獲得する場にしています。そのため研究内容はテーマを絞らず、自分の興味に忠実に向き合ったものを選んでもらっています。二つ目は「プレゼン力の向上」です。技術職を目指す人は、就職活動はもちろん、仕事を始めてからも自分の技術を伝える場面が多くあります。「伝える」ことは訓練で伸ばせるため、このゼミを通して力をつけてもらいたいと思っています。三つ目は「技術・知識の共有」です。私も参加しているGDC(注2)をはじめ、開発成果をオープンに共有して、みんなでより良いものを作っていこう、というのが近年の主流となっていて、技術・知識の共有は世界的にも重要とされています。そのためこのゼミでも研究成果は学内にアーカイブされ、学生はそれらをいつでも見ることができるようにしています。
この授業は学生が主役です。参加する学生たちの中にも「自分たちのために築いていくクラス」という意識がしっかりとあります。「我こそは」と集う学生たちの場として、これからもサポートを続けていきます。
注1 CEDEC(Computer Entertainment Developers Conference、日本のゲーム開発者会議)
注2 GDC(Game Developers Conference、世界的なゲーム開発者会議)
福井先生
受講中の学生インタビュー
自分が一番やりたいこと、好きなことを発表できる
僕はこのゼミで「コンパイラ」という、人間の書くプログラムと、機械が実行できるプログラムの間をつなぐ部分を掘り下げています。ゲームに関連する研究発表が多い中で、テーマとしては珍しいタイプだと思いますが、自分が一番やりたいこと、好きなことを発表できるのでとても魅力を感じています。そしてただ発表するだけでなく、「コンパイラとは何か」という基本的な部分から1年生にも分かるように伝えなくてはいけないので、適切なアウトプットの方法を学べる上、先生からも資料の準備のことや、伝え方などのアドバイスをたくさんいただくことができました。また、研究を共有することで、「あ、ここ間違っていたのか」と早く気づけるのも自分で何でも解決しようとしてしまう僕にとっては嬉しい部分です。繰り返し発表を続けてきたことで、初回に比べるとかなり成長できたと実感しています。今後はもっと高いレベルで研究を続けていけるように頑張ります!
上田さん
ゲーム開発エキスパートコース ゲームプログラム専攻
鹿島学園高等学校出身